O-ネットでは、オンブズマン活動で対応した事例をもとに、『オンブズマン事例分析』を発行しています。

対応事例を「食事」「入浴」「コミュニケーション」などの項目に分類。各項目の事例とその特徴、事例から見えてきたものについて分析しています。市民の目で介護の現場を見つめ、市民の立場から施設の現状と課題をまとめており、マスコミにも多数、紹介記事が掲載されています。

増え続けるリハビリへの要望。改善率が低下する「拘束」

2017年7月発行/A4判、62ページ、定価500円

2015年4月から2016年3月まで、約85名の介護オンブズマンが活動した最新の記録。

活動は延べ40ヵ所にわたり、総事例件数345件の中から主な事例をソフト面・ハード面に分けて抜粋し、分析しています。活動施設は特養を中心に、介護付有料老人ホーム、介護型ケアハウス、サービス付高齢者向住宅を含み、いままさに高齢者施設で起こっていることが、この1冊に集約されています。

ソフト面には排泄・食事・入浴・リハビリ・車椅子など14項目があり、事例には、リハビリしていることを忘れてしまう利用者から「リハビリをしたい」との要望があり、オンブズマンがカレンダーに印をつけて説明することを施設に提案したことにより、利用者が自分のリハビリについて理解し笑顔になった報告例などがあります。

ハード面は居室と共有空間の2項目からなり、事例には利用者の「居室トイレの手すりを替えてほしいと頼んだが返事がない」という声をオンブズマンが伝えることにより、職員が利用者と話し合って姿勢保持用補助台を手作りするに至った例などがあります。

事例総数437件、平均改善率は80%

2016年7月発行/A4判、56ページ、定価500円

2014年4月から1年間、約90名のオンブズマンが特養・介護付き有料老人ホーム・介護型ケアハウスなど延べ約50施設で活動し伝えた事例総数437件の中から、主な事例をソフト面・ハード面ともに抜粋し、分析しています。

ソフト面には、排泄・食事・入浴・車椅子など14項目があり、事例には「夜中の排便は転倒の危険からおしめの中にしろと言われ、我慢していると便秘になり困っている」という利用者の声と、オンブズマンが繰り返し施設に伝えた結果、利用者の立位訓練に取り組み1年半後にポータブルトイレの使用が可能になった報告例などがあります。

ハード面では居室と共用空間の2項目があり、事例には「多床室で各人のベッドに仕切りのカーテンがない」というオンブズマンの指摘なども掲載しています。

22%と極めて低い「拘束」の改善率

2015年7月発行/A4判、55ページ、定価500円

2013年度の1年間、オンブズマン活動を通して施設に伝えた事例を総括し、分析した報告書です。

総件数は594件、改善率は79%。2012年度に比べると件数減の項目が増えましたが、「車椅子」に関する事例は12年度の53件から、13年度76件と件数増に。オンブズマンが関心をもって利用者の車椅子の状態を観察し、苦情要望やオンブズマン自身の気づきを伝えた結果と思われます。

従来から改善率の低い「リハビリ」や「拘束」は今回も改善率が低く、とくに「拘束」は件数が9件と少ないものの、改善率は22%と12年度の50%から大幅にダウン。車椅子の抑制帯や、カテーテルを抜かないようにミトンの手袋やつなぎ服を使用したり…といった例がありました。身体拘束は利用者の心身に弊害をもたらすだけでなく、そうした現場で働く介護職員にもケアの質や士気の低下など悪影響を及ぼします。難しい課題ではありますが、多職種を交えて知恵を絞り、対応策への検討が望まれます。

虐待に発展する恐れのあるケースも2例報告

2014年3月発行/A4判、70ページ、定価600円

2012年度の1年間、オンブズマン活動を通してオンブズマンから報告された事例を集約し分析しました。

顕著だったのは、活動12年目にして初めて、放っておくと虐待につながりかねない事例が2件、報告されたこと。どちらも排泄に関わるケースでした。

オンブズマンが利用者の訴えを聴き取り、施設に伝えることにより、職員の変更やユニットリーダーの交代などが行われ善処されましたが、これら2つの事例で興味深いのは、両事例ともに、利用者本人が家族に訴えているものの、家族から施設への申し立てはなかったこと。「施設にお世話になっているから面倒なことは避けたい」という家族の心理も透けてみえます。

そうした点で、第三者の立場から日常的に施設に入り、不適切なケアを未然に防ぐオンブズマン活動の意義と重要性を改めて確認した事例と言えます。

内容別の傾向・課題と具体例を
簡潔に提示

2013年3月発行/A4判、44ページ・定価500円

2011年度の1年間、オンブズマン活動を通して施設に伝えた事例を総括し分析した報告書です。

O-ネットでは、これまで10年間培ってきた経験と実績をもとに、2011年度からは事例に細かな分類番号表を設けました。それに基づいてまとめた報告書が本書です。対応事例数は1127件。それらを介護に火くぁるソフト面と、生活環境にかかわるハード面に大別。さらにソフト面では排泄・食事・入浴・車椅子など14項目に、ハード面では居室と共用空間の2項目に分類しました。また、「迅速かつ随時の排泄介助」「身体に合った車椅子の提供」「身体拘束の全廃」「外気に触れる機会の提供」など、施設生活の質向上に欠かせない24項目を「重点項目」に設定。それらの事例については特に意識して経過を追うよう努めました。

分析の結果、全般の改善率は平均70%と高いものの、「重点項目」に指定されている「身体拘束」の改善率は36%にとどまりました。「身体拘束」が一部の施設では、依然、根強い課題であることが浮き彫りになりました。

改善率を中心に
活動施設10年の変化追う

2012年12月発行/A4判、40ページ・定価500円

2012年に朝日・産経・神戸の各新聞で紹介され、好評を博した報告書『2009年度・2010年オンブズマン事例分析&10年の変化』。2部構成で展開された同書の第2部「10年の変化」のみを1つの冊子とし、コンパクトに全容を把握できるようまとめたものが本書です。

01年度から10年間の事例分析のデータをもとに、改善率を中心に、施設介護の変化を考察。「生活環境」など設備や物品の提供に関するハード面は高い改善率示す一方、「リハビリ」や「外出」など職員体制の工夫・充実が求められる項目は低い改善率となっていることなどを独自データで明らかにしています。

「介護・介護体制」「コミュニケーション」など事例を11の大項目に分け、さらに内容別に小項目を設定して、10年間の改善率の変化を追った本書。巻末のデータも分かりやすく掲載しています。

10年の施設の変化を
独自データで分析

2012年5月発行/A4判、120ページ・定価700円

本書は2部構成で展開。10年間の活動を通し、特養の介護や生活において「何が変わり、何が変わらなかったのか」を明らかにしています。 第1部では09・10年度にオンブズマン活動を通して集めた事例を「介護・介護体制」「コミュニケーション」「リハビリ」など11項目に分類。「改善できた事例、未改善のまま残されている事例とその特徴」「事例から見えてきたこと」について分析。とくに「介護・介護体制」では、車椅子利用者が大半を占めているにもかかわらず、身体に合った車椅子の整備が不十分であることを指摘。今後の重要課題を提示しています。 第2部では、01年度から10年間の事例分析のデータをもとに、改善率を中心に、施設介護の変化を考察。@05・06年度は介護職員の不足が目立ち、職員不足の影響は介護のさまざまな分野で改善率の低下となって現われた。A設備や物品の整備は比較的進んでいるが、リハビリや外出支援の対応は低い。排泄介助、車椅子介助、身だしなみへの配慮などの日常の随時対応は、オンブズマンの指摘があると対応されるが、継続性に課題がある。Bエプロンをつけての食事待ちの光景は10年間で大幅に減少した。以上の点を、独自データで明らかにしています。

改善率は上昇!施設の熱意を後押し

2010年3月発行/A4判86ページ・定価1000円

2007年度と2008年度の事例集に掲載された高齢者施設(特養47施設)の事例、全1599例を対象に分析。前回(2005年度・2006年度事例分析)の傾向との比較も行っています。

今回の事例分析では、職員の確保が厳しいなか、施設の努力もあって全体的に改善率がアップ。特に「外出」や「楽しみ」については未改善率が前回に比べ10%前後減少するなど、オンブズマンが継続して要望を伝え続けることが施設の背中を押し、利用者満足につながっていることが感じられる結果となりました。また、「診察・治療」では、未改善の事例件数が124件中7件と少なく、施設が利用者の訴えに真摯に対応していることがわかりました。一方では、年々「車椅子」に関する事例が増加。座りっぱなしによる体の痛みの訴えや、事故につながりかねない不用意な操作をしている事例も見られ、いっそうのきめ細やかな対応が求められます。

「大阪府福祉基金地域振興福祉助成金」の助成を受けてまとめた本書。人生の最晩年を安心して心豊かに暮らしていくには、施設及び利用者に「何が求められるのか」についても追究しています。

人手不足の影響が
介護サービスにも顕著に

2008年6月発行/A4判82ページ・定価500円

2005年度と2006年度の事例集に掲載された高齢者施設(特養48施設)の事例、全1050例を対象に分析。前回(2003年度・2004年度事例分析)の傾向との比較も行っています。

全体として顕著だったのが、介護内容や清掃に関わる事例の増加。「フロアに職員の姿が見えない」といった職員体制・配置に関する事例は前回に比べ2.4倍増。同様に、排泄介助1.7倍、身だしなみ1.8倍、事故・身体拘束2.6倍、居室の清掃2.4倍と、大幅に事例数が増えています。事例件数が多いということは、橋渡し役であるオンブズマンが、施設に伝えなければならなかったことが、それだけ多かったことのあらわれと言えるでしょう。具体例もふんだんに掲載しています。

2003年度・2004年度オンブズマン活動実績 事例分析

個別対応は一定定着。進む施設間格差

2006年3月発行/A4判109ページ・定価800円

2003年度と2004年度の事例集に掲載された高齢者施設(特養45施設)の事例、全904例対象に分析。前回(2001年度・2002年度事例分析)の傾向との比較も行っています。全体を通して、(1)個別対応が進み、リハビリに力を入れ出した施設も増えている、(2)利用者の要望の高度化も進み、要望を出しやすい環境が整えられつつある、(3)取り組み内容に施設間格差がみられるなどが明らかになりました。

大阪府男女共同参画活動事業補助金を受けて作成した本書では、事例の分析から浮かび上がってきた課題(職員体制、排泄ケア、ボランティアの導入、外気浴の機会提供、認知症高齢者の居室整備など)について、意欲的に取り組んでいる施設にヒアリングを行い、課題をクリアするためのヒントも掲載しています。

2001年度・2002年度オンブズマン活動実績 事例分析

選択食を導入、職員の確保・教育も進む

2004年5月発行/A4判73ページ・定価500円

2001年度と2002年度の事例集に掲載された高齢者施設(特養34施設)の事例、全685例を対象に分析。全体を通して、(1)選択食の導入など食事内容、「楽しみ」に関わる物品の提供などについては比較的速やかに改善されている(2)職員の確保・職員教育については、事例が取り上げられてから2年および2年半の期間を経過した追跡調査ではある程度改善されている(3)施設周辺への散歩など身近なところへの外出、入浴およびリハビリの提供回数の増加などは、対応する人手の確保が難しくいまだ十分ではない――などの傾向が見えてきました。市民が求めるよりよい施設介護とは何か、オンブズマン活動の意義と役割にも言及しています。