社福軽減で、入居者全員が個室ユニット型施設へ

生活保護受給者は原則としてこれまで入居できなかった個室ユニット型施設。しかし昨年4月から社会福祉法人による利用者負担軽減制度※1(社福軽減)が拡充され、生活保護の利用者も個室ユニット型施設に入居できるようになりました。昨年11月、建替えにより新施設が完成した四天王寺悲田院では、この制度を活用して全利用者の新施設への移行を実現。他施設へ移る不安もなく、全員が新居で新たな生活を始めています。

1965年に開設され、一部に6人部屋の居室も残っていた四天王寺悲田院。40年以上が経過し、建物の老朽化が進んでいました。耐震整備ともあわせ、07年から建替えを本格的に検討。昨秋、旧施設の横に12ユニット(1ユニット9人)、定員108人(入居100人、ショート等8人)の新施設を完成させました。

利用者のうち生活保護の人は1割ほど。これまで生活保護の人は社福軽減の対象外でしたが、11年度から個室の居住費について軽減制度を利用できるように。生活保護の場合、居住費は利用者に代わり施設が全額負担することで、個室も利用可能となりました。

「当初、生活保護の方は系列の特養などへ転居してもらわざるを得ないだろうと考えていました。軽減制度の拡充で、私たちも救われる思いでした」と氏家幹夫施設長。

施設では、建替えが決まった早い段階から負担額が変わることや軽減制度について利用者・家族に説明。真摯に伝えることで余計な不安や混乱を招かないよう配慮してきました。各人の反応を見ながら、個別に負担額について具体的に示すことにより、家族の同意も得やすかったようです。

「社福軽減の利用で、利用者負担第1段階の老齢福祉年金受給者等は負担額の1?2を、第2段階や第3段階※2の方は1?4を軽減できます。当施設では第2段階の人が利用者の半数を占めますが、この制度で月5千円〜1万円程度の負担増に抑えることができました」

同施設の社福軽減対象者は全員で31名。新施設後の新たな利用者は9名。その分、施設の負担も増しますが、「生計困難な要介護高齢者が安心して暮らせる場を提供していくことが当施設の使命」と施設長。公共の福祉を担う以上、負担軽減という形で人々に還元するのは必要なことだとの考えです。

昨年、厚労省は特養の居室定員を現行の「4人以下」から「1人」に変更する省令を公布。12年度から施行することにより、個室ユニット化の推進を鮮明にしました。社福軽減の拡充により、個室ユニット型施設への建替えが進むのは間違いなさそうです。

ユニットのリビングでくつろぐ利用者と職員。
※1…社会福祉法人が生計困難な利用者の利用者負担額の一部を肩代わりする制度。特養の場合、軽減総額が利用者負担額の10%を超えていれば超過分は公費負担となる。※2…軽減対象は年金150万円以下の人。
(2012年3月)