ニーズの多様化に合わせ、
広がる「住まい」の形態

O-ネット理事、日本消費生活アドバイザー・コンサル
タント協会西日本支部「高齢社会を考える会」メンバー
川上 正子

「住まい」は人の生活基盤として、欠かせられないことですが、老後と呼ばれる時期が長くなって、より大切な事柄になっています。どこでどのように暮らすかは長い高齢期の生活の安心や幸せに直結するからです。

40年くらい前、公団の分譲住宅が次々に誕生した頃、「住まい」に大きな変化がありました。敷地を共有する集合住宅のマイホームが一般化して、新しい法律や住民の管理組合ができました。その時を住まいの第1次ブームと考えるなら、今は第2次のブームと言えるのではないでしょうか。第1次では子育てが大きなテーマでした。第2次のテーマは老後です。高齢者の多様なニーズに応えるために、業界が積極的に多彩な選択肢を提供しています。

高齢を理由に賃貸住宅の入居が拒まれることがないように、国土交通省が平成13年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者居住法)を制定しました。

平成17年には介護保険法の見直しで、居住系サービスの充実が図られました。高齢者の一人暮らしの不安や困難、要介護者に適さない家屋の構造や高齢者のライフスタイルの多様化を背景とした高齢者の住み替えニーズの拡大に対応するために、高齢者が安心して住める自宅、施設以外の新しい「住まい」を提唱しています。そして「早めの住み替え」「要介護状態になってからの住み替え」など形態に対応した多様な介護サービスを提供するとしています。

見直しによって、今まで有料老人ホームとケアハウスだけだった介護保険の特定施設に一定の居住水準などを満たした「高齢者専用賃貸住宅」が対象として拡大されました。これが高専賃と呼ばれている耳新しい住まいです。民間型ですが、比較的低い費用で利用することができる施設です。提供されるサービスの種類も食事、介護、洗濯・掃除などの家事、健康管理など施設によって、全てであったり一部であったり様々です。また、特定施設でない高専賃もあり色々な顔を持つ“新人”です。 介護サービスの受け方が多様化することは、選択肢が広がり望ましいことでしょうが、利用者として不安も広がります。予備知識も持ったうえ、しっかり見定めることが大事になってきました。

(2008年5月)