施設介護の中心的担い手
“特別養護老人ホーム”
ノウハウ生かし、他業態への展開も

O-ネット理事、日本消費生活アドバイザー・コンサル
タント協会西日本支部「高齢社会を考える会」メンバー
川上 正子

内閣府が編集する「高齢社会白書」は毎年6月の中旬から書店に並びます。グラフや表がたくさんあるのですが、親しみやすい工夫があり、文章も平易で十分読み物としても面白い。その白書の平成20年度版の介護サービスの利用実態を見ると、軽度のうちは居宅サービス利用が多いが、要介護3あたりから施設サービス利用者が多くなり、要介護5では介護サービス利用者のほぼ60%の人が施設サービスを受けています。

特養はその施設サービスの中心的な担い手です。老人福祉法に基づいて誕生し多床室が主流の「従来型特養」と介護保険制度の制定以降に設立された個室が主流の「新型特養」があります。両方合わせて「特養」は全国に約6000施設あり、40万人近くが暮らしています。

 特養を開設したり経営したりできるのは国や地方公共団体が社会福祉法人だけで、社会福祉事業としての役割を果たしています。新型特養は全館個室でホテル並みのハードを備えるところもありますが、生活を支える介護の質は外観では判断できません。介護職員の人材不足はどの施設も共通の悩みですが、施設の理念や施設長の手腕が個別ケアや自立支援の中身の差になっていると思えます。利用料の利用者負担額には減額制度がありますので、低い額では要介護4で4人部屋の場合3万5000円、減額制度の適用がなくて新型個室を利用する高額の場合は18万円程度です。

「終の棲家」としての安心はどこで終焉が迎えられるかと言うことにつながります。看取りは特養の課題の一つです。家族にとっては自宅での看取りは難しいが、特養でならと選択肢の一つになることも考えられます。地域の小規模多機能型では手に余る状態になった人や、慢性的な病気があっても、認知症のため病院では難しい人の受け皿として、福祉施設の特養はなくてはならない存在です。

社会福祉法人は本来業務である社会福祉事業に支障のない範囲で、公共事業、収益事業を行うことができます。居宅サービスやケアハウス、介護付き有料老人ホームなど特養での介護のノウハウを生かして、地域や他の業態への広がりや変化も見られます。

(2008年7月)