多様な権利形態・利用料支払い方式
有料老人ホーム入居には、
事前に十分な検討が必要

O-ネット理事、日本消費生活アドバイザー・コンサル
タント協会西日本支部「高齢社会を考える会」メンバー
川上 正子

数年前まで有料老人ホームは庶民にとって、高嶺の花でした。「入居一時金5000万円、月額費用35万円、少し高額なほうが親をホームに預ける家族の後ろめたさを軽減させる」と言う説明があったりしました。

有料老人ホームの7割は介護保険制度の導入後に開設されたものです。介護保険付きで開設することによって、利用対象者の枠が急激に広がり建築数も一挙に増加しました。民間事業者や社会福祉法人が運営していますが、現在は入居一時金が不要だったり、利用料が1ヶ月15万円というところも出現しています。有料老人ホームは「健康型」「住宅型」「介護付き」の3種類があり、総数で2750ほどになっていますが「介護付き」が8割程度を占めています。平成18年の老人福祉法の改正で、有料老人ホームの定義も変わりました。変更されたのは利用者数「16人以上」という人数規制がなくなったことと、提供サービスのなかに「食事」が含まれることが必須だったのに、食事の提供・入浴・家事支援のうちどれかひとつ以上提供していれば有料老人ホームの枠に入るようになりました。そのため実際は有料老人ホームなのに届けを出していないホームも見られるようになりました。有料老人ホームには設置運営基準があり、職員配置や看護師の常勤もしくは常駐が決められています。

有料老人ホームは身近なものになり、選択範囲も広がりましたが、それだけに契約時の権利形態の方式や利用料の支払い方式なども多種類で、どれが自分にあった棲家なのかよく検討する必要があります。利用権方式が一番よく採用されている方式で、居室に住む権利とサービスを利用する権利が一体で死亡時に利用の権利はなくなり利用権の相続はできません。他に入居者が死亡しても契約は終了しないで相続財産になる建物賃貸借方式などがあります。介護付きで提供されるサービスも介護保険以外に付加されることもあり、どこまで望むかで利用金額も異なります。

厚労省のホームページで有料老人ホーム利用者のアンケート結果が報告されていましたが、それによると、困っていることは「食事内容が合わない」34.1%、「他の入居者との関係」20.1%、「意見や希望を伝える機会が少ない」20.0%となっていました。これは、これからの入居者にとっても、事業者にとっても、考えるべき課題です。

(2008年11月)