継続のコツは、メニューの工夫と協力体制

身体機能を維持し、利用者の生活の張りと楽しみにつなげようと、歌やトークを交えながら手足を動かす簡単な体操を長年継続して行っている施設が少なくありません。寿光園(定員70名、平均要介護度4.03)もそんな施設の一つ。取り組み内容を取材しました。

↑上原さんのリードで体操を行う利用者の皆さん
↑上原さんのリードで体操を行う利用者の皆さん。歌はアカペラで。その日のメンバーの調子に併せ、鈴や手拍子でリズムを取る。

午前10時過ぎ、機能訓練指導員上原逸代さんのリードでスタートしたリハビリ体操。初めは「里の秋」などを歌ってウォーミングアップ。その後、車椅子に座ったままできる腕や肩の上げ下げ・前屈・手指の運動、そして「秋に食べたいものは?」といった参加者とのトークをはさみながらプログラムが進みます。

改装工事のため、現在は一時的に本館と新館の2か所に分かれ、週に各2回実施していますが、本来は1か所に約70人(グループホーム等の利用者含む)が集まり、週5回行っています。

取り組みは1982年から開始され、当時は福森潔さん(現施設長)が担当。「離床し、起きる楽しみを見い出だすきっかけになれば、との思いから始めました。体を動かすことだけを目的とするのではなく生活リズムを取り戻すことにつながればとの思いもあった。人間性の回復、生活の復権につながるのがリハビリだと考えました」

02年からは准看護師の上原さんが専任で担当。楽しんで参加してもらうために工夫もしています。「集団の体操ですが、目を合わせたり声かけしたりスキンシップを図ったり…と、個々の利用者に配慮した対応を心がけるようにしています。そんな中で体調の変化も敏感に察知できます。また利用者の特性や好きなものを把握しておくことも必要。トークの展開やコミュニケーションづくりに役立ちます」

30分間のプログラムのうち、体を動かすのは15分ぐらい。「体操だけだと続かない。足を伸ばす運動をしながら、食べ物の話をするなど関心を向けてもらう工夫もしています」

すっかり生活の中に定着し、利用者から「きょうは何時から始まるの?」「体操がなかったら困る」と言われることも。「継続による効果は数値化しにくいが、入居後、要介護度が低くなる人も少なくない。離床率100%。褥瘡ゼロが長年続いているのも体操の効果かもしれません」

継続して取り組むには「専任職員を配置することと、協力体制を構築することが大切」と施設長。寿光園の場合、体操には上原さん以外に介護職員も数人配置。また、各フロアの新人介護職員・看護師らで構成するリハビリ委員会で理解の共有化を図ったり、非常勤の柔道整復師と理学療法士による指導や助言も行っています。

「体操と言っても利用者がどんなことを望んでいるのかを知ることが必要。そして、管理者が施設の生活の中でリハビリや体操をどのように位置付けるのか明確にすること、継続にはそれらも重要なポイントです」

(2010年5月)