便秘の改善をめざして、排便ケアを進める

施設の利用者の中には頑固な便秘に悩まされている人が少なくありません。加寿苑では昨年度、一つのブロックが個々の排便状況をきちんと把握し自然排便に近づけていくことを目標に、排泄ケアに挑戦。継続的な業務改善活動を進めるための手法の一つであるPDCAサイクル(計画、実施、評価、見直し・再実施)に基づいて、取り組みを進めました。

PDCAで取り組みを推進

施設の利用者の中には頑固な便秘に悩まされている人が少なくありません。加寿苑では昨年度、一つのブロックが個々の排便状況をきちんと把握し自然排便に近づけていくことを目標に、排泄ケアに挑戦。継続的な業務改善活動を進めるための手法の一つであるPDCAサイクル(計画、実施、評価、見直し・再実施)に基づいて、取り組みを進めました。

まず担当職員5人が排便に関する知識を得た上で、日々の排泄チェック表から各利用者の排泄アセスメントシートを作成。これを基に対応プラン(排泄サービス計画)を医務とも相談しながら立て、取り組みを開始しました。

水分や乳製品の摂取、適度な運動や腹部マッサージ、下剤の調整などを利用者ごとに実施。「毎日、朝食前にホットパックで腹部や腰部を温めて腸の運動を促す温罨法も、看護師から教わって取り入れていきました」

8月には評価を実施。実施過程での変化を正確に把握できていないケースもあったので、利用者の変化を毎月きちんと記録し、月1回開くブロック会議で定期的に評価を行っていくこととしました。

改善が見られないケースについては、看護師や介護主任からの助言も得ながらプランの見直しを行い、10月から再実施。「1か月ごとに見直しを行うことで短期間でのプラン改善が可能となり、職員間の理解と対応の共有も図りやすくなりました」

排便周期が短くなった利用者も

1年間の取り組みを通して、腹痛や食欲不振などの改善は目に見えて感じられるようになったそうです。下剤の服用は続けているものの、なかには温罨法を実施したり毎朝食後ポータブルトイレに座ることを習慣づけることにより、以前は5日ほどあいていた排便が2〜3日に1回になった利用者も。「以前は便秘の不快感からか、独語や奇声がみられたり夜間帯に眠れなかったり食事拒否があったりしたましたが、それも改善しました」

高齢者の場合、筋力や腸の蠕動運動の低下などにより、下剤を全く服用しないのは難しいことも多いようです。「自然排便にこだわりすぎるのではなく、適正な下剤の服用で便の量や性状の観察を続ける方がよいと看護師から助言を受けたケースもありました」

「取り組みを通して個々の利用者の状態をこれまでより真剣に観察し、深く関われるようになれた。手応えを実感することによって、職員のモチベーションも上がりました」

同ブロックでは昨年2回、施設内の職員を対象に勉強会を実施。排便ケアの知識や具体的な対応事例を発表し、好評を得ました。同ブロックに刺激され、今年度は他の2つのブロックでも排泄ケアに取り組んでいます。

ブロックリーダーの蔭山健さん(左)と武内恭祐さん、指導・助言にあたったフロア主任の河村麻衣子さん排泄アセスメントシートと排泄ケアサービス計画書
ブロックリーダーの蔭山健さん(左)と武内恭祐さん、指導・助言にあたったフロア主任の河村麻衣子さん 排泄アセスメントシートと排泄ケアサービス計画書
(2010年5月)