リハビリで退院後の利用者のADL低下を防ぐ

退院後、運動療法や温熱療法に取り組む利用者たち

施設で暮らす利用者の中には、病気やけがなどで入院した後ADL(日常生活動作)が低下し、施設に戻っても状態が悪化していくケースが少なくありません。そうした中、大阪市西成区の「まちかどホームすずらん」では普段から個別機能訓練にあたるとともに、退院直後の利用者に対し意識してリハビリに取り組むことで機能低下の防止に努めています。取り組み内容を取材しました。

入院前の機能を取り戻す

すずらんが加算を取って個別機能訓練に取り組み始めたのは11年9月から。区内の拠点施設として地域全体でリハビリ推進に努めようという方針のもと、入居の利用者に対しても常勤・専従の理学療法士(以下PT)を採用。90名(平均要介護度4.1)の利用者に1人週2回、1回5〜20分程度のリハビリを実施しています。

病気やけがで入院する人も多い同施設。退院時は入院前と比べてADLが低下している利用者も月に1〜5人はいるそうです。歩けていた人が車椅子になっていたり、トイレで排泄可能だった人がおむつ着用になっていたり…。「状態にもよるので一概には言えませんが、そうしたケースでも、入院前に持っていた機能を引き出すよう意識してリハビリに取り組むことによって、回復したり、元の状態とはいかないまでも急速な低下を食い止められたりすることも多くあります」と担当のPT・太田貴志さんは話します。

退院直後は「施設に戻れてうれしい」と感じている人も多いので、そのタイミングを逃さないのも大切なポイント。「杖で数歩でも歩いてみる、介助なしで椅子から立ち上がってみるなど、ちょっとした成功体験の積み重ねがヤル気の持続につながります」

もちろん認知症の人も多いだけに「今、リハビリを」と思ってもできないことも。「ざっくばらんな雰囲気の中で気持ちを向けたり、時間を変えてアプローチしてみたり…。工夫と根気も欠かせません」

介護職員に介助法を指導

介護職員が利用者の状態を理解し介助方法に配慮することも重要です。施設では退院前カンファレンスに看護師・介護主任・ケアマネジャーが臨み、入院中の経過や対応を確認。退院後のケアカンファレンスにはPTの太田さんも同席し意見交換にあたります。太田さんが疾患に関する知識や禁忌事項を伝え、介助方法について意見や助言を行うことも。大腿骨骨折のため人工骨頭を入れた人なら「姿勢によっては脱臼の恐れもあるので車椅子への移乗動作には注意して」など、介助方法を実際に指導することもあります。こうしたサポートがあることで介護職員も自信をもって利用者に関わっていけるようです。

「退院直後のリハビリは回復への変化が表われることも多く、利用者にとっても、私たちスタッフにとっても大きな喜びにつながります」。

同施設の利用者と看護・介護職員との比率は3対1。「マンパワーも限られているだけに、現有の身体機能を維持することで、効率的で効果的な介護につなげていきたい」と太田さんは話しています。

(2013年1月)