見守り体制を工夫し、つきたての餅を提供

餅つきは冬の風物詩の一つ。多くの利用者に喜ばれるものの、のど詰めなどが心配で実施には二の足を踏む施設も少なくありません。見守り体制を工夫して餅つきや餅の提供を行っている天の川明星に、取り組み内容について伺いました。

利用者の7割以上が餅つきに参加

天の川明星の餅つきが恒例化するようになったのは5年前から。オンブズマンに「高齢者には懐かしい思い出の一つ。喜ばれますよ」と勧められたのがきっかけでした。

餅つきはおやつタイムに、1階の交流スペースで実施します。当日は普段より6名多い、21名の介護職員が出勤。餅つきには施設長・職員15名の他、家族・退職した職員などボランティアを含め約20人があたります。

利用者は、入居者55名のうち約40人、7割以上が参加。通常の食事形態は、きざみ食が5割、普通食とミキサー食が各2割、そして胃ろうが1割という状況です。胃ろうの人とミキサー食で状態の悪い人は、フロアでいつもと同じようにおやつを提供。餅つきに参加するのは、普通食やきざみ食の人、ミキサー食でも普段からおやつは形のあるものを食べている人たちです。

最近は米に大和芋を入れて作るソフト餅などもありますが、天の川明星では普通のもち米を使用。ただし利用者の嚥下力や咀嚼力に合わせ、大きさは直径1〜2pに。また、餅取り粉をまぶして丸めるのではなく、のどに通りやすいよう水餅に。大根おろし・きな粉・餡の3種類の味でいただきます。「もち米に白米を混ぜた、おはぎのような食感の“ごはん餅”も食べやすいと聞いたので、今年やってみるつもりです」と中村和巳介護主任は話します。

嚥下について家族の理解深める

工夫しているのは、参加する利用者に一斉に対応するのではなく、10人ずつ順番に居室フロアから降りてきてもらっていること。また「餅つきを見る時間と場所」と「餅を食べる時間と場所」を分けることによって、マンツーマンで見守りや食事介助に対応できるようにしています。その他、介助時はお茶を飲んでから餅を食べてもらうなど、のどの通りをよくするために水分摂取にも気をつけています。

事故があればすぐに対処できるよう看護師も2名参加。吸引器も用意していますが、今までのところ事故はないそうです。

「準備も後片付けも大変な餅つきですが、昔を思い出し、身を乗り出して眺めたり、つき方や丸め方に口をはさんだりと、利用者もとてもにぎやか。その姿を見ていると、職員も来年またやろうかという気持ちになります」

施設では月1回巻ずしや蛸焼きなどを利用者と一緒に楽しむクッキングを開催。通常とは異なる雰囲気での食事の様子についても普段から観察に努めています。また、家族とこまめに連絡を取り、家族会の催しではミキサー食・きざみ食などの試食も実施。高齢者の嚥下について理解を深めてもらっています。普段から家族に情報提供とリスクへの理解を図る。取り組みにはそんな配慮も欠かせないようです。

(2010年11月)