24時間シートでケアの共有・統一図る

全利用者に手応え実感

利用者一人ひとりの24時間の言動や暮らしぶりを把握し、ケアに活かす「24時間シート」(以下、シート)。個々の利用者をよく知り、よりよい自立支援につなげるためのアセスメントツールです。とはいえ、なかなか活用するのは難しいようです。全利用者のシートを作成し、よりよいケアの発見につなげているセントポーリア愛の郷(西宮市)に、取り組み内容を伺いました。

シート作成について話し合う職員たち。

セントポーリア愛の郷は05年開設の個室ユニット型特養。入居者100名・ショートステイ利用者20名の計120名。12ユニットあり、平均要介護度は3.7、利用者と介護・看護職員の比率は1.8対1です。

施設がこの取り組みを始めたのは11年6月から。その1年前「職員によって異なるケアを統一できないか」と、あるユニットが試みにシートを導入。効果的だったので全ユニットで取り組み出しました。

「シート作成を通して各利用者のできること・できないことを把握し、適切な自立支援を行おう。利用者の意向に耳を傾けることで、その人らしい暮らしをサポートしよう。そんな思いから始めました」と北嶋勇志理事長は導入のねらいを話します。

シート作成にあたって、まずは職員が2〜4週間、各利用者の意向や状況を記録用紙に書き込んでいきます。「認知症介護研究・研修センターが“センター方式”と称して記入様式を提案していますが、どこに何を書いたらよいのか分かりにくいという職員の声もあったため、私たちはもっとシンプルなものを採用しました」と益永万里生活相談員。時間は15分刻みで、項目は「日課」「意向・好み」「自分でできること」「サポートが必要なこと」「気づいたこと・注意点」の5点。「手書きで、気軽に記入していけるように」とA3判の大きな用紙を用いました。

数週間記録を取ると、ある程度、利用者の行動パターンが見えてくるので、記録用紙をもとにユニット職員が話し合い、3か月間のシートを作成します。

「数週間分の記録から、より深く多面的に利用者を知ることができるようになった」と話すユニットリーダーの皆さん。とくに認知症の人について効果的だった様子。「入れ歯の洗浄・入浴などを嫌がる人たちに対し、促す際の時間帯や声のかけ方など、記録を取ることで分かることも多い。異食のある人についても、どんなとき起きやすいのかが見えてくるとよりよい対応ができるようになります」

水分摂取の時間帯や量、排泄の時間帯を把握することで、排泄介助もスムーズに。夜間は2ユニットに職員は1人だけですが、排泄パターンを把握しているので効果的なタイミングで介助できるようになったそうです。

「項目に沿って記録することで、ケアへの手がかりやヒントがたくさん分かった。利用者全員、何らかの発見や対応への成果があった」と手応えを語るリーダーたち。「意向や行動が予測でき、職員も自信と余裕をもって対応できるようになったため、利用者も穏やかで表情豊かになったように思います」

作成したシートは、パソコンソフトにより、ケアプラン等にも連動。モニタリングなどを通して更新していきます。

シートを作成したものの、芳しい結果が得られなかった場合どうすればよいか―。同施設では、「もう一度振り出しに戻り、2週間ほど記録を続けてみると、よりよい対応が見えてくるはず」とアドバイスしています。

↑ある利用者の24時間シートの一部。
ソフトを導入し、作成したシートは介護課・医務課・生活相談課・業務課などの全職員が、パソコン画面で閲覧できる。職種間の情報共有も容易に。
(2012年9月)