利用者53人の笑顔がでるときを紹介

磯崎 清(オンブズマン1期生)

「どんなときに笑顔がでますか」を利用者に質問

これは、ある施設が文化祭に際し、利用者へ問いかけたフレーズです。オンブズマンの訪問日に、その答えが一人ずつ各居室のガラス窓に貼り出してありました(この問いかけに答えられない人の分は、担当職員の普段の観察にもとづいて書かれています)。

まず、「どんなときに笑顔がでますか」への答えの中から、いくつかを紹介してみましょう。

これらをまとめた冊子「2007年文化祭/笑顔のとき」に記載された利用者53人の『笑顔の現場』を集約すると、次のようになります。

「食事、風呂、レクリエーション(歌―歌う・聴く、踊り―踊る・観る)、行事(誕生会など)、家族との面会、洗濯物を畳む、テレビ、おしゃれ、散歩などの外出、利用者同士・友人との会話、みんなの笑顔」

オンブズマン活動を振り返るきっかけにも

さて、私たち二人のオンブズマンが、この居室前の貼り紙に惹き付けられ、一文にまとめたいと思ったのは、その内容が私たちが数ヶ月かけて利用者から聴き取った「楽しみ」や「生きがい」と概ね合致していたからです。例えば、Aさんはカーテンが風に揺れているのを見て「極楽からの余り風」と言う程の詩人で、洋服を褒めたら「褒めてくれるのを待っていた」と言うような人です。Bさんは北海道の出身で、気が向けば「江差追分」を情緒たっぷりに歌い、ひとりでこつこつとタオルをたたんでいます。また、C氏は熱狂的な阪神ファンです。施設のこの試みから言えることは、介護に忙しい職員でも利用者への問いかけを工夫し観察を怠らなければ、ある程度利用者の本音を知ることができるということです。

また、オンブズマンの聴き取りにも、この試みは大いに参考になります。その一つは、問いかけは常に柔軟でなければならないということ、もう一つは、利用者53人の一言一句を読んでみて、オンブズマンとしてまだ関わりの足りない利用者がおられるのではないかということです。施設の試みは、自分自身のオンブズマン活動を振り返るきっかけにもなりました。

(2008年3月)