第16回(2015年度)定時総会を開催

O-ネットでは6月13日(土)、第16回(2015年度)定時総会を大阪市中央区のドーンセンターで開きました。参加者は26名(うち運営会員27名、出席15名、委任状提出11名、欠席1名)。第1号議案(14年度事業報告)、第2号議案(14年度決算報告)、第3号議案(役員選任)が承認されるとともに、15年度事業計画および事業予算の報告が行われました。

決算報告を行う水上義博副代表理事

山田裕子理事の司会で始まった今年度の総会。岡本祐三代表の挨拶【裏面掲載】の後、緒方しのぶ理事が議長に選ばれ、議事録署名人選任・定数確認を経て、議事に入りました。

第1号議案は堀川世津子事務局長が報告。「2014年度は通常事業の実施に加え、5団体から助成を受け、昨年度に引き続いて活発な活動を展開した。とくに重点項目に掲げていた図書販売では、冊子『至言・名言 介護施設で出会いました』(以下、『至言・名言』と略)が1500部を超える大ヒットとなった。多くのオンブズマンに丁合・製本作業に携わってもらい、NPOらしい“みんなでつくった冊子”となった」と1年を総括しました。

第2号議案は水上義博副代表理事が報告。「110万円を超える黒字決算となった。『至言・名言』の大ヒットによる図書販売収入の増加と、5つの団体からの助成金の確保、収支改善の努力が大幅な黒字につながった」と説明しました。

引き続き荒木康弘監事が監査の結果を報告。その後、1号議案・2号議案は全員異議なく承認されました。

続いて第3号議案に入り、新理事候補2名を含む、理事12名・監事2名の計14名を堀川事務局長が紹介。拍手により承認されました。役員の就任期間は15年7月〜17年6月までの2年間です。

15年度事業計画では、「通常事業を円滑に進めるとともに、昨年度に続き、施設職員研修、講演会、図書販売に力を入れる」と堀川事務局長が説明。事業予算は収入1195万円、支出1312万円であることが水上副代表理事から報告されました。議長が意見・質問を求めましたが、質疑はなく拍手をもって閉会となりました。


総会代表挨拶

注視したい、利用者の主体性活かす取り組み
社会保障はすべての市民のための制度

代表理事 岡本 祐三

人はだれかの役に立つことで自分の存在意義を確認する。だから、要介護高齢者となって常に援助を受けることが必要となったとき、自分の存在意義はどこにあるのか…と考え、煩悶する人も多いだろう。そういう人たちの集団生活の場が介護施設であり、そこに入居者の危機感があると我々は考えていた。

しかし、昨年発行した『至言・名言』に登場した人々は、要介護状態にあっても結構自分なりに主体性をもって暮らしている。そこに意外性と新鮮な驚きがあったからこそ、マスコミに取り上げられ、多くの読者の目に留まったと言える。

とはいえ、介護施設で主体性や自立性を確保するのは、とても難しいことである。実現するには、施設に情報や選択肢の提供が求められるだけでなく、利用者自身のやる気も必要になる。どのようにすればそれが可能となるのか、これからのオンブズマン活動ではそうした質的議論も深めていきたい。

介護保険はよくできた制度で、要介護度に応じてどれだけのお金とサービス量が個々の利用者に投入されるのかが、デジタルに示されオープンになっている。このことは換言すれば、「要介護度に応じたサービスを受ける権利が、利用者に保障されている」ということでもある。オンブズマンはそうしたことも念頭に置いて活動していく必要がある。

いずれにしても、社会保障制度は一部の人のためだけの救済制度ではない。すべての市民のための制度である。社会のニーズを敏感にキャッチし、それを品ぞろえに反映しているのがコンビニだが、そこには『社会保障一覧表』という本も置かれ、よく売れている。生活を守るセーフティネットである社会保障は、今や若い人々の間でも関心事の一つになっている。コンビニにこうした本が置かれているのはとても意義深いことだ。


活動施設の食事の取り組み

5月月例会で4人が発表

隔月の第4土曜日に開催しているオンブズマン月例会。活動しているオンブズマンが集まり、情報交換・意見交換を行っています。5月23日の同会では食事をテーマに、月例会のリーダーを務める4人のオンブズマンが活動施設の取り組み内容を紹介しました。

嚥下体操で誤嚥を予防 ソフト食も導入

担当施設の食事について発表する渡辺よしみさん。
3班に分かれ、意見交換も行われた。

最初に発表したのは渡辺よしみさん。担当の四天王寺きたやま苑について語りました。

同施設では、普通食・一口大食・きざみ食・ムース食・ミキサー食を提供しています。利用者から「形のあるものを食べたい」との要望があったためソフト食について聞いたところ、年4回の行事や月2回の居酒屋レクでは提供しているとのこと。イーエヌ大塚製薬の「あい〜と」や豆腐などの柔らかい食材を使用しています。対象者は約10人。ソフト食なら利用者自らが手を伸ばして積極的に食べようとする姿もあるようです。

渡辺さんは盛り付け方や提供のしかたの工夫にも言及。「きたやま苑では、認知症が進んで食事介助が必要になった利用者に、おかずを一口大に切って小鉢に入れて出すことで、食事と認識し自力摂取が再び可能になったケースがあります。また、別の活動施設では早食いの人に1食分を2回に分けて出すことで落ち着くようになった例もみられます」と話しました。

坂東美子さんは成法苑の取り組みについて発表しました。ミキサー食をコップに入れ、“飲み込んでいる”利用者の姿を見て、「おいしく食べてもらうにはどうすればよいか」と、10年前から食事について検討してきた同施設。4年前からソフト食を導入。利用者が普通食を食べられるようになることを目標に、きざみ食の人を普通食へ移行する試みも進め、今までに10人ほど成功例もあります。

食事形態の移行で変化したのが職員の意識。どんな食べ物なら嚥下可能かを考えながら利用者と接するようになり、注意力・観察力が向上したそうです。

施設では並行して、口腔ケアや嚥下体操にも力を入れています。どの職員も同じように対応し、毎日継続できるようにと、嚥下体操のDVDを独自に作成。唾液の分泌を促し飲み込みをよくするよう努めています。「継続は力なり。最近は誤嚥性肺炎の発生件数にも減少がみられます」と坂東さんは話します。

ボランティアカードで主体性促す取り組みも

食事風景について感想を語ったのは大野富子さん。「以前活動していた年輪では、職員も一緒に利用者と同じ献立の食事を摂っていました。“どれ食べる?”“おいしいね”といった利用者と職員の会話があちこちで聞かれ、とてもなごやかな雰囲気。食事時間をみんなで共有することを大事にしている施設だと感じました」

また、現在の担当施設・光明荘では「目の見えない人への職員の言葉がけが胸を打つ」と大野さん。「焼きそばですよ」とソースの香りに注意を向けたり、「生姜ですよ。からいかな」と伝えるなど、「その都度、話しかけながらの食事介助が印象的です」

おやつにも言及したのは高田英世さん。これまで活動してきた3施設を紹介。「高槻けやきの郷は、施設としてのおやつ提供はなく、利用者は個々に用意したおやつを食べていた。つどうホールは全員に同じおやつを提供。年輪は飲み物のみ提供と、各施設で異なることが分かりました」

おやつと関連して、ユニークだと感じたのが年輪の取り組み。「ボランティアが運営している喫茶店が1階にある。利用者は施設内を自由に行き来でき、喫茶店へも行くことができる。また、ボランティアカードを作成し、おしぼりたたみなどを行うごとにポイントが付き、それがたまれば喫茶店での飲み物が無料になるシステムもあっておもしろい」と話しました。

出席者からもさまざまな質問が寄せられ、オンブズマンにとって、参考になる話が多かった月例会でした。

ソフト食とは

普通食と同じように、食材の形や色を活かしつつ、柔らかく食べやすく調理された食事のこと。咀嚼力や嚥下力がやや弱い人向けに開発された食事形態で、卵などの食材やゲル化剤などで固めたもの、酵素を使って食材を柔らかくしたものなどがある。

Q&A

車椅子から椅子へ座り替えるメリットとは?

食事の際、車椅子から椅子への座り替えを促している施設も増えている昨今。座り替えには、次のような利点があります。

  1. 立ち上がりの動作を1日3食、おやつも含めると計8回行うことで運動になり生活リハビリにつながる。血液の循環も良くなる。
  2. 車椅子の座面は前方が高く傾斜がある。そのため食べるときに必要な少し前かがみの姿勢が取りにくい。また、車椅子で足が床についていないと、足で体を支えることができず上体が不安定になる。そのため椅子へ座り替えたほうが、食べこぼしや誤嚥の予防につながりやすい。
(2015年7月)