理事・監事の退任・就任にあたって

前号でもお伝えしましたが、O―ネットでは6月の岡本祐三代表退任を受けて三木秀夫新代表が誕生、那須良太弁護士が監事に就任しました。そこで、川上正子副代表には前代表へのメッセージを、那須監事には自己紹介と抱負について寄稿いただきました。

「老い」への深い洞察と指摘

O―ネットの活動の原点に

岡本先生は、旧厚生省の「高齢者介護・自立支援システム研究会」委員や「高齢者介護ケアサービス体制整備検討会」委員を歴任し、介護保険制度の誕生期からかかわり、支えてこられた方です。そんな方からオンブズマン養成講座やセミナーで幾度も講義が聞けたことは、今から思えば本当に幸せなことでした。講義の内容は、けっして声高に制度を論じたり、知識を詰め込むものではなく、物静かに時にはシニカルに高齢者問題の現実や老いについて語り、深い洞察に導くものでした。

そこから私たちは人間尊厳や個別対応や自立支援や自己決定が介護を受ける人たちにいかに必要かを学び、自分自身の老いや生き方に目を向けることになりました。

オンブズマンがいつも活動の中で、そこで暮らす人に目を注ぎ、その人を通して介護の質の向上を求めようとするのはそのような薫陶を受けたからに違いありません。オンブズマン機構は組織的にも、運営的にも類のない活動だけに難しいものです。

岡本先生はよく「ぼくは寝ても覚めてもO-ネットのことを考えている」と言われ、響きの鈍い私たちを嘆かれました。そんな先生ですから静養に専念したいと言われたとき「お名前だけでも」と月並みな言葉で御引止めすることはできませんでした。

岡本先生は知る人ぞ知る文化人です。その話題の広さは料理やタレントのことから、政治や経済、歴史、文学に及び映画評論もプロの域でした。

先生には多くの著書がありますが、これからも「介護保険制度が制定されて創生した新しい文化」や「自己決定の可能性を探る」評論が読みたいものです。

本当にいろいろありがとうございました。長い間、お疲れさまでした。三つ子の魂、百までと言われるように、機構の揺籃期に確立した理念に支えられながら、これからは三木代表の新しい息吹も感じられる活動をいつも見守ってください。(川上正子)

監事に就任して

「告発型ではなく橋渡し役」に共感

三木秀夫先生からのご依頼を頂き、この度監事に就任致しました。監事就任のお話を頂いた際に、「告発型ではなく橋渡し役」というコンセプトを教えて頂き、大変共感しました。弁護士という仕事柄、「告発型」の事件に関わることが多いのですが、告発型には限界があります。介護施設は告発を受けないようにという発想に傾き、ご本人のことが置いてきぼりになりがちです。「橋渡し役」が介在することによって、施設の側も普段からご本人のためにという前向きな姿勢をとりやすいのではないかと思います。

ところで、三木先生からお誘い頂いて、先日、オンブズマン養成講座を受講しました。介護施設の見方については、後見の仕事のためにも、自分の両親や自分自身の将来のためにも、もっと学びたいと考えていましたので、丁度よい機会になりました。施設や高齢者に関する科学的なお話や、オンブズマンの先輩方のお話をお聞きして、大変勉強になりました。11月からの1年間はオンブズマンとしても活動させて頂くことになりました。今後、O-ネットが「橋渡し役」として益々活躍の場を広げていけるよう、監事として、一オンブズマンとして、少しでもお役に立てればと思います。よろしくお願い致します。(那須良太)

(2016年9月)