改めてユニットケアを考える

田中智子・高秀苑施設長

要介護状態になっても、利用者がごく普通の生活を営めるようにしたい―個室ユニットケアがめざす精神です。

ハードでは9〜10人の小グループをつくり、個室と共用空間を設けることで、小規模で在宅に近い居住環境を確保する。ソフトでは各ユニットに担当職員を配置し、利用者一人ひとりの個性や生活リズムを把握して介護を行う。このように、ハードとソフトの双方から対応するのが個室ユニットケアの大きな特徴です。また、「従来型の多床室では、利用者は交流するどころか、関わりを避けて生活していることが多いのに対し、個室ユニットケアでは居室内にいる時間がかえって減少しリビングにいる時間が増加した」という故・外山義京大教授の有名な調査にもあるように、個室ユニットケアは、利用者の主体性を活かす仕組みでもあるのです。

とはいえ、箱ものを整えただけでよいケアが行えるわけではありません。当苑も当初はユニットの機能を活かすことができず、従来型と変わらないケア内容でした。「これではいけない」と取り組んだのが、「自由に生き生きと自分らしく」という法人の理念を浸透させること。理念を具現化するため、時間・離床など8つの大項目と23の小項目からなるケア方針と、その解釈を記した文書を作成し、職員の理解の共有を図りました。

また、介護技術の向上も図りました。介護の重要な要素である移乗・移動の技術が不足していると感じたため、外部講師を招き、1年間かけて全職員に研修を実施。この効果は絶大で、職員も自信がついたのか、それからはユニットがチームとしてまとまり、職員目線のケアから利用者目線のケアへと変わっていきました。今ではユニットの設えなども職員に任せています。

「暮らしの継続性」を図るため「24時間シート」も活用しました。利用者の「生活リズム」「意向・好み」「自分でできること」「サポートが必要なこと」を15分間隔で記すことによって、利用者に沿った個別ケアが可能となる。対応する職員のケアの統一も図れます。また、ピンチヒッターの職員が入ってもシートを基にスムーズに対応できます。

「24時間シート」から、全利用者のデータをユニットごとに一覧化するのも非常に有効です。よく「職員が足らない」ということを耳にしますが、ケアは必ずしも四六時中必要なわけではない。「24時間シート」を一覧表にすることによって、時間帯によるユニットの職員の必要数も見えてくる。必要なときに柔軟な職員配置が可能となります。当苑では勤務シフトを常勤14、非常勤22パターン設定。基本は早出(7時)、遅出(13時)、夜勤(22時)ですが、遠足や個別外出、その他の事情に臨機応変に対応できるようにしています。

いずれにしても「自分がされたくない介護はしない」というのが当苑の基本。「自分も入りたい」と思える施設をめざしてこれからも取り組みを続けます。